STORYストーリー
1965年、オリンピック景気に沸く東京で、街の浄化を目指す警察は、街に立つセックスワーカーたちを厳しく取り締まっていた。ただし、ブルーボーイと呼ばれる、性別適合手術[*当時の呼称は性転換手術]を受け、身体の特徴を女性的に変えた者たちの存在が警察の頭を悩ませていた。戸籍は男性のまま、女性として売春をする彼女たちは、現行の売春防止法では摘発対象にはならない。そこで彼らが目をつけたのが性別適合手術だった。警察は、生殖を不能にする手術は「優生保護法」[*現在は母体保護法に改正]に違反するとして、ブルーボーイたちに手術を行っていた医師の赤城(山中 崇)を逮捕し、裁判にかける。
同じ頃、東京の喫茶店で働く女性サチ(中川未悠)は、恋人の若村(前原 滉)からプロポーズを受け、幸せを噛み締めていた。そんなある日、弁護士の狩野(錦戸 亮)がサチのもとを訪れる。実はサチは、赤城のもとで性別適合手術を行った患者のひとり。赤城の弁護を引き受けた狩野は、証人としてサチに出廷してほしいと依頼する。
今の生活を壊したくない、と証言を拒んだものの、赤城の逮捕で残りの手術ができなくなり途方に暮れるサチ。新たな医師を探すうち、彼女はかつて働いていたゲイバーでの同僚アー子(イズミ・セクシー)と再会。自分のバー「アダム」を開く夢に奔走するアー子は、すでに裁判での証言を決めていた。一方、ブルーボーイたちの元締めとして働くメイ(中村 中)も証人を引き受けるが、彼女はこんな裁判は茶番だとバカにする。
ついにアー子が証言に立つ日がやってきた。手術の正当性を証明したい狩野は、アー子たちは「性転換症という精神疾患」を抱えた人々であり、手術はその治療の一環であると主張。その言葉にアー子は猛然と怒り、自分は「女として普通に生きたいだけ」だと声を荒げる。そんなふたりを、傍聴席のサチは不安げに見つめていた。

中川未悠サチ 役
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