映画『ブルーボーイ事件』が劇場公開を迎え、11月15日(土)にTOHOシネマズ新宿で公開記念舞台挨拶を開催。中川未悠、中村 中、イズミ・セクシー、真田怜臣、六川裕史、泰平、そして飯塚花笑監督が登壇。

映画のタイトルにちなみ、それぞれブルーの華やかな装いで登場したキャストたち。
チケット完売の満員御礼で迎えたこの日、サチを演じた中川は「初めてのお芝居挑戦で右も左もわからない状態でしたが、スタッフ・キャストの皆さんに助けていただき、サチを演じ切ることが出来ました。昨日無事に公開を迎える事が出来て、今日はめちゃくちゃ嬉しいです」と喜色満面。

印象的な場面は法廷シーンで「撮影4日目で緊張とプレッシャーがありました。監督やスタッフさん達から『法廷のシーンが大事!』と何百回も言われていて、セリフも長くて不安でした」と回想し「テストでセリフを喋った時に泣き崩れてしまって…。傍に中さんがいてくれて支えになりました。そうして皆さんに助けていただきながら生まれたシーンです」と舞台裏を明かし、中村は「中川さんがもっている繊細な部分がサチにすごく活きていたと思います。こういう体験は最初しかできないと思うし、大切な時間だと思うので、すごい時間に立ち会わせもらっているなという思いで見守っていました。」と共演者同士、難しいシーンの撮影に向き合ったことを称え合った。
1960年代当時の法廷資料や証言などをリサーチした飯塚監督は「歴史に埋もれさせるのではなく、当事者の手を通して世に出すことが重要ではないかと思った」と映画化への意気込みを述べた。

メイ役の中村は「本作をマイノリティ性のある人だけのために作られた映画だとは思っていただきたくないです。法廷の証言台で幸せを問われたときにサチは『あなたが思っている幸せとは違う』といいます。撮影時に私はそのセリフは抵抗の言葉だと思っていました。でも完成作を観た時に、その言葉はどんな人の幸せもカテゴライズできないという意味だと思いました。マイノリティ性を持っている人とマジョリティ性を持っている人が双方から歩み寄れる、架け橋のようなセリフだと。この映画はマジョリティ性を持っている人のための映画でもあると伝えたいです」と呼び掛けた。

アー子役のイズミは「撮影は怒涛で目まぐるしかったけれど、この作品が世の中に出て皆さんの目に触れる事がとにかく嬉しいです」と声を弾ませ「撮影後はみんなで前橋の居酒屋に行って飲んだり食べたりして楽しかったし、撮影オフの時はやる事がなさ過ぎて一人で散歩して山奥まで行ってうどんとか食べました」とユーモアを交えて笑わせた。

ベティ役の真田とユキ役の六川、それにツカサ役の泰平は本読みで初めて会った瞬間から意気投合したという。真田が「3人で固まっていた時のアドリブが楽しかった」と振り返れば、六川も「その時のアドリブが実際に本編に活用されていて嬉しい」とニッコリ。

泰平は「お二人とは初めてお会いした時からフレンドリーに接してもらえたのでやりやすかった」と言い、六川も「会ったその日から仲良かったよね!」と楽しそうだった。

また真田は「脚本が素晴らし過ぎて本読みで号泣。自分がこれまで経験した事も沢山描かれていたので、苦しくもなるけれど素晴らしい映画だなと思いました」としみじみ報告すると、ロケ地・前橋市出身の泰平も「前橋出身の私の人生にとってはかけがえのない作品になりました。両親が初日に映画を観てくれて『県民として嬉しい』『いい作品に恵まれたね』と言ってくれました。群馬、最高!」と大喜び。六川は「沢山の方々に知ってほしいし観てほしい。そして苦しい思いをしてきた方々に希望の光を当てる事が出来たら」と期待を込めた。

主演の中川は「皆さんのコメントを聞きながら、サチの『大切な人とかけがえのない人に出会えたのは先生のお陰です』というセリフを思い出しました。今回本当にかけがえのない仲間に出会えたと思っています。ちょっと泣きそうです!」とウルウルし、改めて「初めての映画出演が『ブルーボーイ事件』で良かったなと思っています」と感極まっていた。
フォトセッションでは、世田谷区にある音空花店が本作をイメージしてデザインした花束を持って艶やか写真撮影。最後に主演の中川は「幸せになる権利は性別・人種問わず誰もが持っていいものです。幸せには正解はないと思うので、色々な色があったり、形は様々でグラデーション。本作が皆さんの背中を押したり、ちょっとした心の光になったら幸いです」と願いを込め、最後に「錦戸亮さんはめちゃくちゃカッコ良かったです!」と付け加え会場を笑わせた。
飯塚監督は「この『ブルーボーイ事件』はみんなが心を込めて世の中のためを思って作った作品です。莫大な宣伝費のある作品ではありませんが、この作品が広がって一つの成功例になることがこの世の中にどれだけの影響を与えるのか。そのためには皆さんの口コミや応援が必須です。私たちが心を込めて作った子供『ブルーボーイ事件』の応援者になって世の中に送り出してください」とさらなる反響を願い舞台挨拶を締めくくった。
kino cinéma立川髙島屋S.C.館にて飯塚監督によるトークイベント付き上映の開催が決定しました。
さらにトークショー終了後、パンフレット購入者限定のサイン会も実施予定。
この機会にぜひ足をお運びくださいませ。
≪開催概要≫
■日程:11月24日(月・祝)14:45の回 (上映後舞台挨拶)
■登壇者:飯塚花笑監督
■料金:通常料金/全席指定
※ムビチケ利用可・会員割引など各種割引適用
※招待券・無料鑑賞適用不可
■チケット発売
劇場インターネット販売:11/17(月)0:00~(11/16(日)24:00~)
劇場窓口販売:11/17(月)10:00~
※オンラインにて満席となった場合、窓口での販売はございません。
詳細はこちら⇒https://kinocinema.jp/tachikawa/news/news-single/684
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11月10日(月)、飯塚花笑監督と中川未悠が、映画公開を前に日本外国特派員協会記者会見に登壇。

会場には大勢の外国人記者が来場。この日集まった記者は、渋谷区のパートナーシップ制度導入をはじめとした、日本のLGBTQ+コミュニティについての関心も高いようで、ふたりにはそうした社会的な質問も多く寄せられた。

そんな中で、日本のLGBTQ+コミュニティについて今後オープンになっていくとおもいますか?という質問が上がると、飯塚監督は「昨今、メディアの中で性的少数者の存在が取り上げられる機会が増えてきましたが、その一方でバッシングや、バックラッシュ(揺り戻し)的な動きがあるというのも事実です。そういった中で、これはいち個人としての願いになりますが、わたしたちはエンターテインメントの分野に関わっている人間なので。非常に肯定的に、それはそのいい部分だけを描くのではなく、問題提起もしていくべきなんじゃないかなと捉えています」と現状認識について返答。
そして「テレビでもLGBTQ+という言葉であったり、多様性という言葉をよく耳をするようになりました」と語る中川も、「わたし自身、友人や家族から『テレビでこういう特集をやってたよ』とか。LGBTQ+の人たちを特集する番組について聞く機会も増えているので。どんどん進んでいると感じます」と語る。
本作の舞台となる1960年代と比べて、LGBTQ+をめぐる環境は変化を続けてきている。そんな中で「LGBTQ+当事者の監督、キャストによってつくられた本作が今後、どのような影響を及ぼすと思うか?」という質問も。それに対して、本作がシネコンやミニシアターなど、全国70館以上で公開される規模の商業映画でありながらも、当事者の手によってつくられた作品である、という本作の意義を強調した飯塚監督。
「わたし自身、いち当事者として映画を観る時に、幼少期から映画の中に自分のロールモデルとなるような存在を探してきたんですが、その時にどうしても当事者性を感じられなかったり、表現の違和感というものをずっと感じていました。ですから今回の作品が当事者による表現の見本になる、というと大げさかもしれないですが、こういったつくり方があるよというような、ひとつの成功体験になればうれしいなと考えております」とコメント。さらに「そのためにはヒットしないと成功にならないので、ぜひ皆さんにもご支援していただきたいなと思っております」と呼びかけ会場の笑いを誘う一幕も。

また、本作の裁判シーンにおいて、主人公のサチが証言台に立ってまっすぐカメラに向かって証言しているところは、劇中に登場する裁判官をはじめとした人々に向けて話しているのと同時に、「実はスクリーンを見つめる観客に対しても語りかけていたのではないか?」という記者からの指摘も。
その鋭いコメントに思わず笑顔を見せた中川は、「わたしはお芝居が初めてだったので、カメラを向けられるということがものすごく恐怖でした」と前置きしつつも、「でも脚本をいただいて、あのセリフを読ませていただいた時に、やはり自分と重なる部分がたくさんありました。あれはサチのセリフではありますが、中川未悠自身の言葉としてもしっかりと伝えたいと思いました。この映画が何かを変えるきっかけになると思っているので、もちろんカメラに向かって言っているんですが、スクリーンの向こうで観てくださっている方に向けて、わたしとサチの思いを投げかける、という気持ちで撮らせていただきました」と語った。

さらに今後、LGBTQ+の人々が暮らしやすくなるために「どんな法律があれば良いと思うか?」という質問も。それにはまず飯塚監督が「法律が新たに生まれるというよりも、今、わたし自身が問題点として思っているのが、性同一性障害の特例法です。これは肉体の一部を変えないと戸籍が変更できないというような要項になっているのですが、この点に関しては、いち個人としても、なるべく早く改善をしてもらいたいと思っています」と返答。
続く中川も「わたしの場合は、自分の体に男性器があるということが違和感だったので。性別適合手術をして戸籍を変えるところまでしているんですが、それはあくまで個人のアイデンティティなので。手術をしなくてもいいという方もいらっしゃいますし、個人の意見を尊重した法律というか、決め事ができたらいいなと思います。もちろん身体を変えたくても、持病があったり、何らかの理由で性別を変えられないという方々もいらっしゃるので。そうした方々にも寄り添うような形の法律ができれば、皆さんがより良く過ごしやすくなるんじゃないかなと思っております」。
中川は「今後も俳優業を続けていきたいと思いますか?」と問われると、「わたしはこの作品を通じてお芝居の難しさや楽しさに気づいたので、今後も続けていきたいと思います。性的マイノリティの方々はコメデイのように扱われていたり、笑いと捉えられてしまう事もあるので、わたし自身が俳優業を続けてることによって誰かの光になれたらいいなと思いますし、そういった悩みを抱えている方々から目指そうと思ってもらえて世の中も変わっていったら良いと思います。」と答えた。
本作の裁判シーンでは、裁判官がサチに「あなたは幸せですか?」と問いかけるシーンがある。そこでなんと答えたのかは、映画を観ていただきたいところだが、そのセリフに込めた意味を質問された飯塚監督は、「この一言のために映画を作ったと言っても過言ではありません」と力強く語り、「わたし自身、女性として生を受けて。とにかく必死に生きやすい環境を求めて男性に移行しました。しかしその結果、今度は男性という鎧を着なければならず、苦しみましたし、さらにトランスジェンダーらしさという規範にも苦しみました。結局、自分はどこに着地すれば幸せになれるのか、という疑問を抱えて今も生きています。その中で見つけた答えは、僕自身の幸せは、僕自身のものでしかないということ。それは一般的に思う幸せとは少し違った形かもしれない。でも幸せです。そのメッセージを伝えたくてこの映画をつくりました」。
一方、このセリフについて中川は「あの言葉を聞いた時、きっと皆さんひとりひとりが『幸せって何なんだろう』と考えさせられたと思うんです」と切り出すと、「その答えはわたしにもまだ見つかっていません。きっと幸せは人それぞれで、だからこそ個性や自分らしさがあると思うんです。あのセリフに明確な答えはないかもしれませんが、皆さんの心に寄り添ってくれる質問だと思います」とコメント。その上で「もし今、幸せですか? と聞かれたとしたら、『ブルーボーイ事件』を皆さんに見ていただけることが、私の幸せです!」とにこやかに会場に呼びかけた。
映画『ブルーボーイ事件』の公開を記念して、11月15日(土)にTOHOシネマズ 新宿にて監督・キャストによる舞台挨拶の開催が決定いたしました。皆様のご来場をお待ちしております。
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≪開催概要≫
■日程:11月15日(土)午前9時15分の回(上映後舞台挨拶)
■登壇者(予定):中川未悠、中村 中、イズミ・セクシー、真田怜臣、六川裕史、泰平、飯塚花笑監督(敬称略)
<中村 中さんの追加登壇が決定いたしました>
■会場:TOHOシネマズ 新宿
■チケット料金:2,200円均一
※無料鑑賞・各種割引・ムビチケ・前売券・割引券等使用不可。
※実施スクリーンにより、特別シート等追加料金が発生する場合がございます。
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≪チケットの購入方法について≫
【先行抽選販売「プレリザーブ」】
■ 申込受付期間:11月1日(土)11:00 -11月11日(火)23:59
■ 抽選結果発表:11月12日(水)18:00予定
プレリザーブとは? https://t.pia.jp/guide/prereserve.html
◆お申込み https://w.pia.jp/t/blueboy-movie/
【一般発売】
■ 申込受付期間:11月13日(木)AM10:00~
≪一般発売に関する注意事項≫
※チケットは、お一人様2枚までとさせていただきます。
□インターネット購入
チケットぴあ https://w.pia.jp/t/blueboy-movie/
≪チケット購入に関するお問い合わせ≫
「チケットぴあ」HP(https://t.pia.jp/help/index.html)
【注意事項】
※内容はすべて予定です。登壇者及び内容は、予告なしに変更する場合がございます。
※悪天候及び公共交通機関の運行状況により、やむを得ず本イベントを中止させていただく場合がございます。あらかじめご了承下さい。
※お席はお選びいただけません。
※全席指定席となります。チケットをお持ちでない方はご覧になれません。
※通常席に加え、下記特別料金設定のお座席を販売する可能性がございます。
プレミアラグジュアリーシート 通常席料金+3,000円
プレミアボックスシート 通常席料金+1,000円
※転売・転用を目的としたご購入は、固くお断りいたします。
※営利を目的として転売された入場券及びインターネットを通じて転売された入場券は無効とし、当該入場券による御入場はお断りします。
※チケット当選後の変更・払戻は出来ません。予めご了承ください。
※場内でのカメラ(携帯電話含む)・ビデオによる撮影、録音等は固くお断りいたします。
※会場内ではマスコミ各社の取材による撮影、弊社記録撮影が行われ、テレビ・雑誌・ホームページ等にて、放映・掲載される場合がございます。また、イベントの模様が後日販売されるDVD商品等に収録される場合がございます。予めご了承ください。お客様の当催事における個人情報(肖像権)については、このイベントにご入場されたことにより、上記の使用にご同意いただけたものとさせていただきます。
※いかなる場合においても舞台挨拶中の途中入場は固くお断りいたします。
※お客様同士のトラブルには、一切責任を負いかねます。
※車いすをご利用のお客さまは車いすスペースでのご鑑賞となります。車いすスペースには限りがありますので、ご利用人数によっては所定のスペース以外でご鑑賞いただく場合がございます。また、イベントの内容やマスコミ取材により、所定のスペースからご移動いただく場合がございます。あらかじめご了承ください。当日のご案内をスムーズに行えますよう、チケットがお手元に届きましたら、劇場までお問合せください。
多様性を尊重する社会を目指し、2015年に全国で初めてパートナーシップ制度を導入した東京都渋谷区。制度開始から10年という節目を迎えた今年、LGBTQ+当事者が安心して暮らせるよう様々な取り組みを行っている渋谷区の思いに賛同し、この度、映画『ブルーボーイ事件』が啓発に参加。
11月5日(水)、飯塚花笑監督と中川未悠が渋谷区役所を訪れ、最初に長谷部健区長と対面し表敬訪問を行った。

事前に映画を鑑賞したという長谷部区長は、中川たちとの対面に思わず「本物のサチだ!」と笑顔を見せるなど、和やかな雰囲気で面談はスタート。
そこでまず映画の感想を求められた長谷部区長は「これはフィクションではなく、もともとあった話ということで、ひと昔前はこうだったんだよなと思う。一方で、渋谷区も(パートナーシップ証明制度導入から)10年たった。そこは変わったんだなと思いながら観ていました。もちろん映画は少しコミカルにも描いてるんだけど、どこか切ないなと思いながら観ていましたね」と思いをはせた。

その感想を聞いた飯塚監督は、この物語が実際の裁判資料に基づいていると説明。「資料の中には、サチのモデルとなった方も登場していて。当時から事実婚のような形で暮らしていたことが分かりました。わたし自身、あの時代にそんなことがあるわけないだろうと思っていたので、それは衝撃的でした」。
長谷部区長も「渋谷区がパートナーシップ証明書を発行したことを評価して新たに入ってきてくれた人もいるんですが、それでもたとえば『SOGIE(性的指向・性自認・ジェンダー表現)』という言葉は意外とみんな知らなかった。ポリシーも高く、意識的な思いで入ってきても、まだまだなところは当然あるだろうなと思います」と語った。
そうして導入したパートナーシップ証明制度だが、長谷川区長も10年たって世の中の空気が変わってきていることを感じている。「想像通りだったとは言わないですが、『ほらね、大丈夫でしょ』といった気持ちも強い。当時は心配していろいろと言ってくる方もいましたし、FAXもものすごく来ました。『日本の家族観が崩壊する』とか『育て方が悪い』とか『街がゲイだらけになる』なんて言う人もいた。それでも皆さんが心配した通りにはなってないでしょ、という思いはあります」。
そうした行政が積極的に推進していくことで、人々の意識も変わっていった。「もちろん行政がやったことでそのしあわせを享受できる人は渋谷区に関わる一部の人だったかもしれない。でも民間企業がそういうことに取り組み始めたり、サービスを始めたり、そういったドラマが生まれるようになったりと、パートナーシップ証明書の発行という重み以上のことが起きたという実感があります」。

一方、パートナーシップ証明制度導入のニュースを聞いた時、ふたりはどう感じたのだろうか。まずは飯塚監督が「一歩前進したという感覚でしたね。それこそ今、わたしたちが関わっているメディアやエンターテインメントの分野から、同性同士が祝福されることがあるなんて思ってなかったんですよ。それは幼少期からのいろいろな刷り込みもあったんだと思うんですけど。それが制度導入となって、ようやくこうやって祝福されることがあるんだということがうれしかった」とコメント。
続いて中川も「わたしもすごく光が差し込んだなという感覚がありました。わたしも当時、SNSで活動させてもらっていたんですけど、わりと当時は、ものすごいアンチというか、批判的なDMやコメントもたくさんあって。結構グサッとくるような言葉もあったんですけど、そんな中で渋谷区の皆さんが一歩踏み出したことによって、いろんな人に希望や勇気を与えてくれたと思います。そういうことで、わたしも勇気づけられましたし、これが10年、20年、30年とどんどん続いていくんだなと思うと、明日もきっと明るいなと思いました」と希望を感じている様子だった。
その後は美竹の丘・しぶやの多目的ホールに会場を移し、渋谷区の職員研修として本作の上映会およびトークショーを実施。こちらでは飯塚監督、中川に加え、渋谷区の松澤香副区長も参加。
もともと弁護士だったという松澤副区長は、弁護士の視点から本作を鑑賞し、「非常に見応えがありました」という。
本作のキャスティングは、当事者であることにこだわった。そのことについて飯塚監督は「この作品は、当事者の実在した声をお届けする作品なので、これは当事者の手で届けるのが必然的だというところからスタートしています。それと自分自身、この映画業界に入ったときは、自分のことを隠して過ごしていたんです。やはり風当たりの強さもありましたし、オープンにした瞬間に傷ついてしまうことが多々あったので」と述懐。
だが時代が進むにつれて、業界の中の労働状態の改善もかなり進んできて、当事者が出演することの意味もようやく大きな声で言えるようになってきた。「そうした社会的な後押しや背景もあって、トランスジェンダー当事者がこの業界の中でちゃんと自分自身のことをオープンにしながらキャリアを積み重ねられるように。ある意味、労働環境の改善的な意味も含めて、ここはしっかりやろうという気持ちもありました」。

そうした背景には、渋谷区がパートナーシップ証明制度を開始したことの影響は非常に大きかったという。だがそれでも社会的な認知をもっともっと高めていかないといけないと松澤副区長は決意を固くした。そのために職員向けの「SOGIE(性的指向・性自認・ジェンダー表現)研修」を実施し、性のありように起因する課題について学び、共に考える場を設けているという。その上で「当事者のお話をしっかり聞き、行政として何ができるかを考えること。それが私たちの役割です」と強調する松澤副区長だった。

そしてその後は参加者からの質疑応答の時間に。その中に、大学院時代にLGBTQに対して研究をしていたという職員は、参考資料として中川のSNSや、講演資料を使用していたということを告白。思わぬ出会いに中川も「うれしい! ありがとうございます」と笑顔を見せるひと幕もあった。

そうした職員との対話を積み重ねた松澤副区長は、「やはりキーワードは想像力だなと思いました。たとえばアンケートを実施する場合、項目って男性と女性しかなかったんです。それが今は男性、女性、その他、あと答えたくないという形も増えてきました。ですから区の書類でも、この性別という項目は別に申請書にはいらないんじゃないか、といった議論も今後はしていければなと思いますし、当事者じゃないからこそ、いろんな事情がある方、いろんな人生を生きてきた方が、職員の中にも渋谷区民の中にもいるということを、わたし自身、自分への戒めとして思いながら仕事していきたい」とコメント。
続く中川も「わたしがよく言っているのが『理解してほしいわけじゃなくて、ただ知ってほしい』ということ。知らないからこそ、そういう固定概念や偏見が生まれると思うんです。ですから思いやりということが、人間のお付き合いにおいてすごく大切になってくるんじゃないかなと思っていて。それはジェンダーに限らず、相手が困っていることがあったら寄り添ってあげる。そういう気持ちがあると、その先には人の幸せがまた生まれてくるんじゃないかなと思っています」と語りかける。
そして最後に飯塚監督が「昨今、渋谷区の皆さんの取り組みのおかげで性的少数者にとってとても明るいニュースが連続したなという感覚があるんですが、最近では逆のバックラッシュも起きてきているなということも肌で感じます。わたしはある程度大人になっているので、心ない言葉を聞いても聞き流せるんですけど、これが幼い子供たちの耳に届いたらどんなことが起きるんだろうと考えるんです。ですからこちらの会場にいらっしゃる方々は「この発言はいけないですよ」「私はあなたの味方ですよ」ということを個人のレベルから身近でやっていただくと、非常に私たちにとっては心強いかなと思います。あとは『ブルーボーイ事件』をぜひPRしてください」と呼びかけた。
第38回東京国際映画祭にて10月27日(月)に行われたオープニングイベントに中川未悠、中村 中、イズミ・セクシー、真田怜臣、六川裕史、泰平、飯塚花笑監督がレッドカーペットに登場。

1960年代の出来事を描いた作品ということで、昭和レトロなドレス姿で登場したキャストたち。
それぞれが劇中で演じたキャラクターをイメージし、そしてそれぞれのカラーを大事しながら作品の衣装部が今回の衣装をアレンジ。
作品の世界観をアピールすると共にオープニングイベントを華やかに彩った。
そして11月4日(火)には中川未悠、前原 滉、イズミ・セクシー、安井順平、飯塚花笑監督が登壇する舞台挨拶を実施。

トランスジェンダー男性当事者として幼少期から“ブルーボーイ事件”を知っていたという飯塚監督は「1960年代当時の裁判にトランスジェンダーの方々が当事者として出廷し、自分の存在をオープンに証言していた事を知って衝撃を受けました。LGBTQ+の歴史は語られて来なかったので、歴史に埋もれさせるのではなく、映画を通して世に届けるべきなのではないかと思った」と映画化に至る経緯を述べた。

主人公・サチを演じた中川とサチの元同僚アー子役のイズミは、オーディションで大抜擢。中川は「芝居経験がないので“なぜ私なんやろう!?”とビックリして不思議さもあったけれど、“オーディション合格”の文字を見た時に心から嬉しかった。作品に携われて良かったと思っています」としみじみ。

イズミは「オーディションの知らせを受けた時に、なんだか私がやるような気がすると思った。合格した時は嬉しかったけれど、演技経験がないので“私で良いのか?”と手を挙げた事に対する後悔も入り混じる複雑な感情でした」と率直な心境を述べた。

サチの恋人・若村役の前原は、中川とイズミの成りきりぶりを絶賛。「僕自身キャラクターを作ることはほぼなくて、というのも中川さんがサチとしてその場に存在してくれたから。僕は若村としてサチさんを愛する事だけでした。それは中川さんが作ってくれたこと」と感謝した。

一方、サチ達を尋問する検事・時田役の安川は「ブルーボーイたちの心を駆逐するために罵詈雑言を浴びせかける検事役で、聞くに堪えないようなセリフもあります。ただ撮影前に中村中さん、中川さん、イズミさんらとお食事をしてLGBTQ+当事者としてのお話しを聞くことが出来た。そんなコミュニケーションを通して役者としては敵ではないと理解していただいた。ちなみに時田もただのヒールではなくて、その時の彼の矜持もあるわけです。それが映画でもわかるように描かれています。そこにも注目してほしい」と見どころに挙げた。

最後に主演の中川は「幸せとは何かを問いかけてくれる温かいストーリーです。幸せになる権利は誰もが持っていて、性別問わず一人一人その形・カラーは違います。色々な方が共感していただける、登場人物一人一人の思いが沢山詰まった心温まる映画です」とアピール。
飯塚監督も「今の時代に必要な映画だと思って走り始めて今に至ります。映画をご覧になっていただければ、その意味が皆さんに伝わるのではないかと思います。1960年代の話ですが、今現在はどういった時代なのか?そこに想いを馳せていただければ、より意義深い映画になるのではないかと思います」と語りかけていた。
第38回東京国際映画祭にて舞台挨拶の開催が決定
▼舞台挨拶詳細
日時:11月4日(火)19:50開演
会場:丸の内ピカデリー シアター2
料金:一般¥2,000、学生¥1,600
登壇者(予定):中川未悠、前原滉、イズミ・セクシー、安井順平、飯塚花笑監督(敬称略)
※東京国際映画祭・先行抽選販売作品の為、10/18(土)のチケット販売はございません。
▼第38回東京国際映画祭・公式サイト内作品ページはこちら
【ブルーボーイ事件】 | 第38回東京国際映画祭
11月14日(金)の全国公開に先駆けて
映画ノベライズ本の発売が決定

📘映画『ブルーボーイ事件』ノベライズ本
中川千英子 著(朝日文庫)
・発売日 10月7日(火)
・価格 946円(税込)
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ぜひ映画とあわせてお楽しみください
映画『ブルーボーイ事件』予告が解禁
上映劇場
前売券情報
●カード券(2か所とも同一商品の取り扱いです)
カード券特典:オリジナルWポケットチケットホルダー(A6サイズ)
①メイジャー通販 『ブルーボーイ事件【ムビチケカード】』前売券販売映画館、前売券特典|映画前売券のことならメイジャー|映画前売券情報
②MOVIE WALKER STORE 『ブルーボーイ事件』ムビチケカード – MOVIE WALKER STORE ムビチケ・映画グッズのECサイト
●オンライン券
オンライン券特典:オリジナル壁紙(2種セット)
MOVIE WALKER STORE ブルーボーイ事件 ムビチケ前売券(電子チケット) – MOVIE WALKER STORE ムビチケ・映画グッズのECサイト
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